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MNPを見据えた各社の2006年春モデル~au編~
法林岳之 法林岳之
1963年神奈川県出身。パソコンから携帯電話、PDAに至るまで、幅広い製品の試用レポートや解説記事を執筆。特に、通信関連を得意とする。「できるWindowsXP基本編完全版」「できるVAIO 基本編 2004年モデル対応」など、著書も多数。ホームページはPC用の他、各ケータイに対応。「ケータイならオレに聞け!」(impress TV)も配信中。asahi.comでも連載執筆中


充実のラインアップと総合音楽サービスで攻勢を掛けるau

左からW41T、neon、W41H、W41CA、W41K、W41S、W41SA

 例年、各事業者は冬のボーナス商戦に合わせ、多くの新機種を市場に投入してきた。しかし、auは昨年末、数機種を発表したのみで、ラインナップ的には秋モデルを継承しながらという印象が残った。販売店からは「これで年末商戦を戦えるのか?」といった声も聞かれたが、電気通信事業者協会(TCA)の集計を見る限り、影響はそれほど大きくなかったようだ。

 この年末商戦向けモデルの絞り込みに対する答えとも言えるのが、今回の2006年春商戦向けモデルと新サービスの発表だ。総合音楽サービス「au LISTEN MOBILE SERVICE(愛称:LISMO)」が発表され、同時に対応端末として、新機種が7モデルも発表された。ちなみに、auは今回の発表の前週にも発表会を行なっており、EZナビウォークで利用できる「声de入力」、フレンドリーデザインやジュニア向け端末3モデルが発表されている。つまり、実質的には10モデルもの端末が春商戦向けに市場に投入されることになるわけだ。まずは、発表会で試用した新モデルの印象を紹介しよう。


W41H

 今回発表された端末の中で、唯一のワンセグ対応モデルがW41Hだ。ワンセグ対応モデルとしては、すでにW33SAが発売されているが、W41Hは業界最大級の約2.7インチワイド液晶を搭載するなど、よりワンセグを活かすための工夫が意識された端末だ。特徴的なのはテレビスタンド的に使える卓上ホルダで、二軸回転式ボディの液晶部分を反転させて置くことにより、コンパクトな卓上テレビ的な使い方ができる。約2分間のタイムシフト再生、字幕表示機能、録画/キャプチャー機能なども用意されている。ワンセグ以外にもEZ FeliCa、LISMO、SD-Audio、SD-Video、PCサイトビューアー&ドキュメントビューアーなどにも対応しており、オールインワンのハイスペックモデルという印象だ。ボディサイズはやや大きめだが、高機能な端末を求めるユーザーは要チェックの端末だろう。


W41CA

 W41CAは、二軸回転式ボディ、ワイド液晶などで高い人気を得たW31CA/W21CAの後継に位置付けられるモデルだ。従来のW31CAは、ワイド液晶に高画素カメラを搭載したハイスペック端末のため、ボディがやや分厚かったが、W41CAでは約22mmのスリムボディを実現している。prosolidなどのような薄さではないが、昨年、auで人気を得たW31Tなどと比べても遜色のないスリムさだ。デザイン面の特徴は波形のダイヤルキーで、メールの文字入力なども操作しやすい印象だ。

 機能的にはW31CAから継承したものも含め、ひと通りサポートしており、LISMOや声de入力対応EZナビウォークなどの新サービスにも対応する。また、従来モデルから好評を得ているUSBクレードル充電台も受け継がれており、LISMOでパソコンと接続するときにも威力を発揮する。WIN対応のCAシリーズは従来からauの高機能端末に位置付けられ、今回もほぼ同じ路線を継承しているが、他のモデルも高機能化が進んでおり、今回のラインアップではより幅広いユーザー層に受け入れられるスタンダードな位置付けになったとも言えそうだ。


W41S

 今回発表された端末の中で、おそらくもっとも早く市場に登場しそうなのがW41Sだ。コンパクトボディのW32S、スライド式のW31Sとは大きくデザインを変えており、どちらかと言えば、一昨年に登場したW21Sを継承するようなボディデザインを採用している。FeliCaチップはW32S同様、背面のサブディスプレイ横に内蔵されており、リーダーライターにかざしたときの衝撃吸収を考慮し、デザイン化されたラバーが貼られている。ボタン部側の背面には、リーダーライターにかざしたときに光るFeliCaサインも備える。音楽再生時に利用できるマイク付きリモコンは、W31Sとほぼ同じものが付属。LISMOに対応したためか、W31SでサポートされていたSonic Stageに対応しておらず、従来モデルのユーザーとしては残念なところだ。

 従来モデルで不満の多かったメモリカードの対応については、最大2GBのメモリースティック PRO Duoが利用できるようになり、音楽データやカメラ画像などを数多く保存しておくことが可能だ。カメラが125万画素であることや内蔵メモリーが39.5MBとそれほど大きくないことなど、スペック的には他モデルに一歩譲るが、全体的にあまりクセがなく、エントリー層にも受け入れられる普及モデルという印象だ。


W41T

 W41Tは国内初のHDD搭載ケータイだ。0.85インチの4GB HDDを端末に内蔵しており、LISMOで作成した音楽データや着うたフル、カメラで撮影した画像やムービーを保存しておくことができる。気になる耐衝撃性については、HDD搭載のデジタルオーディオプレーヤーよりは安全に使えるように設計されているという。省電力にも配慮されており、音楽再生時はいったんデータを読み込み、HDDのヘッドは退避し、HDDの回転を停めるしくみになっており、音楽再生のみで連続8時間の利用が可能だ。ちなみに、電池パックは880mAhの一般的な容量のものが採用されている。端末を閉じたままでも音楽再生機能の操作できるように、トップパネル側には静電パッドキーが装備されているが、操作性は非常に軽やかな印象だ。

 BluetoothについてはW31Tなどを継承したスペックだが、音楽再生については他製品で採用されている「A2DP」というプロファイルではなく、独自に拡張したプロファイルを採用している。W41Tの発表に合わせて登場したBluetooth対応のスピーカーシステムやペンダント型イヤホンは接続できるが、これら以外の音楽系Bluetooth対応製品はおそらくつながらないとのことだ。ちなみに、ハンズフリープロファイルは搭載しているため、Bluetoothイヤホンマイクはほぼ問題なく接続できる。卓上ホルダはW41CAと同じように、USBクレードル充電台になっており、卓上ホルダに置くだけで、簡単にパソコンから音楽データを転送することが可能だ。4GBのHDDとUSBクレードル充電台という組み合わせからもわかるように、LISMOをフルに活用したいユーザーに適した端末と言えそうだ。ただし、実際に使う上では、W33SAと並ぶボディの大きさや約157gというヘビー級の重量が少し気になるところだ。


W41K

 auのカメラ付きケータイとしては、初の手ブレ補正機能付きカメラを搭載したのがW41Kだ。手ブレ補正は静止画と動画の両方に対応しており、他のカメラ付きケータイの手ブレ補正と同じように、デジタル処理によって、映像を補正している。この手ブレ補正機能を実現するため、最大撮影サイズがカメラの有効画素数よりもわずかに小さくなっている。発表会場という撮影するには意地悪な環境だったためか、片手で端末を持ち、細かく振動させながら撮影をしてみたところ、十分な効果は発揮できなかったが、夜景の撮影など、しっかり持っていても手ブレを起こしてしまいがちなシチュエーションでは効果的なようだ。ボディは最近の京セラ製端末にはあまり見られないエッジの効いたデザインで、トップパネルのネオンウェーブと呼ばれるイルミネーションもなかなか印象的だ。ウーファー付き充電台は静かではない会場で試聴したため、あまり効果を実感できなかったが、ミニコンポなどを持たないユーザーがケータイの音楽を再生するのに役立ちそうだ。


W41SA

 今回発表された端末の内、neonと並んで、もっともコンパクトな部類に入るのがW41SAだ。ボディはスタンダードな折りたたみデザインで、女性ユーザーに支持されそうなポップな雰囲気にまとめられている。機能的にはあまり目立ったものはないが、カメラで撮影した画像と紙などに書いた文字を合成できる「パシャ文字カード」、紙に書いた文字を撮影して画像として利用できる「パシャ文字メモ」が新しい機能として注目される。端末上で手書きで文字や絵を描くのではなく、紙に描いたものをカメラで撮影して利用するというしくみだ。実際にパシャ文字メモを作成してみたが、文字部分と人物の位置を調整するのが難しく、少し慣れを必要とするようだ。


neon

 昨年のPENCK以来、久しぶりの登場となったau design projectの第5弾モデルがneonだ。デザインはINFOBARやW11Kを手がけた深澤直人氏が担当している。スクウェアでスッキリとまとめられたボディを採用しているが、非常に面白いのがトップパネルに内蔵されたLEDインターフェイスだ。見た目はただのフラットな仕上げのトップパネルだが、8文字×2行の16セグメントLEDが内蔵されており、通常の端末のサブディスプレイのように、電波状態や日付、着信などを光る文字で知らせるしくみになっている。しかもLEDは光って文字を表現するだけでなく、アニメーションもできるため、かなり豊かな表現力を持っている。ネット上でよく使われているアスキーアートやケータイの顔文字などのような表現もできるため、今までとは少し違ったユーモアのある楽しみ方ができそうだ。ボディは非常にコンパクトで、キーはINFOBAR以上にフラットな配列で仕上げられている。他人とはひと味違ったWIN端末を求めるユーザー向けのモデルだ。


 以上が1月19日に発表されたモデルの印象だ。WIN端末というと、ダブル定額及びダブル定額ライトが契約できるため、どちらかと言えば、ケータイをヘビーに利用するユーザーのための高機能端末というイメージが強かった。しかし、今回のラインナップはLISMOやHello Messenger、声de入力対応EZナビウォークなど、最新のサービスを全機種でサポートしながら、年齢や性別、ユーザーの好みに合わせて、少しずつ方向性の異なるモデルで構成されている。たとえば、ワンセグならW41H、LISMOでPCとの連携を重視するならW41CAやW41T、EZ FeliCaを使うならW41HやW41CA、W41S、デザイン性を重視するならneon、カメラを重視するならW41CAやW41Kといった具合いだ。

 ただ、端末のボディデザインという切り口で見た場合、二軸回転式の端末が一部にあるものの、すべて折りたたみデザインというのは、少し気になる点だ。ユーザーにどの程度、受け入れられているのかは微妙だが、前週の発表と合わせ、10機種もの新モデルを用意しながら、スライド式やストレートデザインがまったくないというのは、より広いユーザー層をカバーするという意味において、やや不安な要素でもあり、ユーザーとしても少しバリエーションの欲しいところだ。

 しかし、そんなことを忘れさせてしまうほど、今回発表されたラインアップは充実しており、ユーザーとしては選択にかなり悩みそうなモデルと言えそうだ。なお、LISMOについては、次回、改めて紹介したい。


auの春モデル10機種


URL
  ニュースリリース
  http://www.kddi.com/corporate/news_release/2006/0119/
  ニュースリリース
  http://www.kddi.com/corporate/news_release/2006/0112a/

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(法林岳之)
2006/01/25 14:25

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