プレイステーション 3の発売時期や今後の戦略をアメリカでも正式に発表Game Developers Conference 2006

「Game Developers Conference 2006」開催3日目となる22日(現地時間)、Sony Computer Entertainment Worldwide Studiosの社長であるフィル・ハリソン氏の基調講演が行われ、プレイステーション 3の発売時期や、SCEの今後の戦略などがアメリカでも正式に発表となった。

» 2006年03月23日 19時52分 公開
[平澤寿康,ITmedia]

「PS Business Briefing 2006 March」の内容をアメリカでも正式発表

画像 SCE Worldwide Studiosの社長、フィル・ハリソン氏による基調講演。内容は先日東京で行われたPS Business Briefing 2006 Marchとほぼ同じだった

 3月15日に行われた、ソニー・コンピュータ・エンターテインメントの発表会「PS Business Briefing 2006 March」では、プレイステーション 3(以下、PS3)の発売時期や新サービスをはじめとする今後の戦略、PSP向けの新サービスなどについて数多くの発表があった。それを受けてGDC 2006基調講演のトップとして開催された、SCE Worldwide Studios社長 フィル・ハリソン氏による基調講演は、PS Business Briefing 2006 March直後ということもあり、同等の内容をアメリカで発表するために行われたと言ってもいいものであった。

 発表された内容としては、PS3が2006年11月に世界同時発売となること、今後提供されるPSPの最新ファームウェアでRSSをサポートすること、PSP向けにカメラユニットやGPSユニットなどの周辺機器を発売すること、PS3発売と同時にネットワークサービスを開始することなど、基本的にPS Business Briefing 2006 Marchで発表されたものがほとんど。利用されていたスライドも、PS Business Briefing 2006 Marchで利用されていたものと同じで、新しい情報もほとんどなかった。そのため、特に日本から参加した聴講者にとっては、やや物足りない内容だったかもしれない。

画像画像 スライドもPS Business Briefing 2006 Marchで使用されたものと同じで、日本人参加者にとっては新鮮みのある内容ではなかった
画像 今年11月にPS3が世界同時に発売されるということが、アメリカでも正式に発表となった

 とはいえ、PS Business Briefing 2006 Marchでは行われなかった内容もあった。例えば、PS3の開発機材を利用したと思われる、リアルタイム描画によるデモ映像の披露。HAVOKの物理シミュレーションエンジンを利用して作られたデモや、SCEE London Studios製作のデモを、実際に壇上で操作しつつリアルタイムで描画されている映像が基調講演で披露されたのだ。また中には、フライトシューティングやFPSタイトル、ラチェット&クランクシリーズの最新作に登場すると思われる未来都市の映像など、PS3向けとして開発中のゲームを利用したと思われる映像もいくつかあった。ただ、完成度という意味でまだまだという印象を与える映像が多かったのも事実だ。

 GDCの基調講演ということで、当然聴講者のほとんどがゲーム開発者だ。となると、今回映像を見せたことがプラスに働くとは限らない。ゲーム開発者なら、ゲーム機発売まで8カ月弱の時点でソフトがどの程度完成していなければならないか、十分に把握しているはずで、今回披露された映像では逆効果となる可能性も十分考えられる。もちろん、基本的には全て技術デモという範疇で扱われたのだと思うが、できればもっとゲームとして完成しているような映像を見せてもらいたかった。

画像 HAVOKの物理シミュレーションエンジンを利用した技術デモ映像。多数の人間を表示させ、爆風で吹き飛ばすというもの。それぞれが独立して動作し、リアルに吹き飛ぶ様子が再現されていた
画像画像 こちらは、SCEE London Studiosが制作したデモの映像

画像 車を走らせた時に、タイヤで土がえぐられ轍ができる様子を再現した技術デモ
画像 フライトシューティングのデモ映像。こちらも、ゲームというより技術デモに近い雰囲気だった
画像 これは、PS3向けのラチェット&クランクシリーズで採用される都市?

「PlayStation Network Platform」で提供されるサービスの一部も披露される

 PS3発売と同時に開始される新しいネットワークサービス「PlayStation Network Platform」では、ゲームのマッチメイキングやランキングの管理、ゲームデータのアップロード/ダウンロード、メッセージング、ボイス/ビデオチャットといったコミュニケーション機能、コンテンツダウンロードや少額決済機能といった商取引機能などが提供される。これらについてもPS Business Briefing 2006 Marchで発表ずみだが、今回の基調講演では、そのうち一部の機能についての実際の映像が公開された。

 公開されたのは、レースゲームの「Formula 1」を利用した、対戦者のビデオチャット映像を表示させた状態の対戦中の画面、フレンドリストと思われるユーザー一覧画面からメッセージを表示させている画面、ゲームのコンテンツを購入できるショップ画面などだ。もちろんこれはデモ映像であり、まだ最終形態ではないと思われる。とはいえ映像を見る限りでは、ネットワーク機能はしっかり練り込まれて開発されていることが伝わってきた。

画像画像 PS3発売と同時に提供されるネットワークサービス「PlayStation Network Platform」の概要もしっかり紹介された

 また、当然表示形式などは全く異なっているが、提供される機能や、今回公開されたネットワークサービス利用時の映像を見ると、ライバルXbox 360で提供されているネットワークサービス「Xbox Live」をよく研究して作り込んでいるという印象も強く受けた。このネットワークサービスが、発表されている機能を全て盛り込んでPS3発売と同時に開始されるのであれば、Xbox 360にとってかなりの脅威となるはずだ。

画像 ゲーム中の対戦相手は、このように顔写真やビデオチャットの映像などを使って表示できるようだ
画像 メッセージング機能としては、このようなメールのようなもの、ボイスチャット、ビデオチャットなどが用意される
画像 少額決済機能を利用したコンテンツダウンロード機能により、このように新コースを追加するといったことも可能になるようだ

 当初の予定よりかなり延期されたものの、発売時期も固まり、発売に向け着実に歩みを進めているPS3。今回の基調講演では、既に発表済みであったとはいえ、提供されるサービスの詳細が発表されたり、過去よりも一歩進んだデモ映像も披露され、アメリカなど日本以外のゲーム開発者にも順調な仕上がりをアピールできたように思う。とはいえ、披露された映像はほとんど技術デモから少し進化したようなものばかりで、まだ実際に発売されるタイトルの開発状況が全く見えてきていないのも事実。そういった意味では、今後の課題も如実に示された基調講演という印象であった。

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